【再掲】「赤トンボ大群は地震の兆し」「異常な引潮は津波」~動物や自然の観察で大地震から助かる

2022/07/31

宏観異常現象 地震 地震前兆

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この記事は、2019/02/17の『探求三昧2』に投稿した記事に大幅に加筆訂正して再掲する。

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「赤とんぼ群れ出(い)ずるは地震の兆し」「ヘビ、藪(やぶ)に集まるときは地震あり」

こうした先人が遺した動物の異常行動や自然界の異変などに関する言い伝えを注意していれば、大地震や津波など自然災害の前兆を事前察知して命が助かるかもしれない。

そういう趣旨の記述が2019/02/16の東京新聞のコラム「筆洗」で書かれていたが、このような伝承の類とその情報源を紹介する。


■東京新聞「筆洗」

冒頭に紹介した言い伝えで始まる「筆洗」の記述では、そのようなことわざが全国にあることを紹介した後、「動物たちに比べれば、人は残念ながら、迫り来る災害などを直感する力に乏しい。だから目を凝らしてきた」と続く。

人間たちが本当に「直感する力」に乏しいかどうかについて言えば、いわゆる「体感」する人たちのことを考えると、必ずしもそうではないと思えてくる。



ただし、人間には「思い込み」があり、動物には無い。

そこが大きな違いではないか。


そして、消防庁ホームページには、同種の言い伝えが多数集められていて興味深いとある。

たとえば、福井県の「大雪の年はクマが里に出てくる」、宮崎県の「モグラが騒ぐと台風が来る」、富山県などの「カメムシが大量発生した年は大雪」など。



■『防災に関わる「言い伝え」MAP』

「筆洗」で紹介している消防庁のサイトは、恐らくここのことだろうというところを、私は以前から知っていた。

『防災に関わる「言い伝え」MAP』だ。

これは、防災に関する言い伝えを収集してネット上で公開している資料に基づいて、全国マップを作成したもの。


よく消防庁がこのようなサイトを作ったものだと、感心する。


ただし、2年半前には存在した消防庁のサイトが、今はなくなっている。

ただし、その元となったデータベース『全国災害伝承情報』は残っていて、PDF形式でダウンロードできる。


下記の『全国災害伝承情報』の『2. 防災に関わる「言い伝え」 』でPDFを閲覧できる。




■先人の貴重な知識データベース

上記資料から、いくつかの言い伝えをピックアップしてみる。


・宮城県・南三陸町:「異常な引潮 津波の用心」

・宮城県・女川町:「大地震が来たら、高台に逃げろ」

・宮城県・仙台市:「一度逃げたなら1~2時間はまて」

・東京・墨田区:「地震のときは表戸を開けろ」

・徳島県・海陽町:「大地震のあと、津波が来襲すると思え。津波の来襲前に海水は必ずひくとは限らない」


墨田区の伝承は、いかにも東京らしい。

「木造家屋は揺れが激しいと家屋が歪み、戸の開閉が出来なくなることの教訓」との短い解説が付いている。

海陽町の伝承は、「海水が引いたら津波の前兆」と例外も含めていて、一歩先を行っている。

このような言い伝えは、あまり固定的に覚えても例外に対処できなくなるのが難点だろう。



また、このような伝承類は迷信的な要素が含まれていることもあるが、消防庁の資料では、さすがにそのような例は除いているのかもしれない。



■動物の宏観異常現象

私は地震前兆研究家として、特に動物の異常行動の事例を数多く収集・研究している。

たとえば、冒頭に挙げた「赤とんぼ群れ出(い)ずるは地震の兆し」は、前兆現象として妥当かどうか考えてみる。


中国で作られた地震前兆現象を集めた啓蒙的な歌では、「トンボ群れ飛ぶ、同じ向き」という歌詞がある。

もしこれが本当だとすれば、魚の例と同様に、ある方向を向いた時に「体感」が弱まることをトンボたちが「学習」して、そのような集団行動を取るのだろうか。


1976年7月28日に中国河北省で起きた唐山地震(M7.8)では、唐山の南方の天津の海上で、地震の3日前に多くのトンボが船の窓や帆柱などにとまっていたという。

赤トンボの群れは秋の風物詩であり、必ずしも大地震の前兆とはいえないということは、言うまでもない。


次の「ヘビ、藪(やぶ)に集まるときは地震あり」について。

大地震の前に実際にヘビが藪に集まった事例を知らず、本当かどうかわからない。

それよりも地震前兆として圧倒的に多いのが、冬眠から目覚めるというケースだ。


1975年2月の中国遼寧省の海城地震(Mw7.0、犠牲者1,300人)では、1ヶ月半前に冬眠中のヘビが穴から出てきたという。

前年12月中旬には、冬眠中のヘビが穴から出てきて、雪の上で凍えて硬くなっていた


中国でこのような事例が多いのは、ご存知の通り、過去に国家規模でそのような事例を収集し、地震予知に役立てようとしていたためだ。


■トンボの大群

実は、この記事を再掲しようと思ったのは訳がある。
先日、明菜さんサークルで、東北の某所でトンボの大群が見られたという情報があったからだ。

自分の「バイブル」の一つである『前兆証言1519!―阪神淡路大震災1995年1月17日午前5時46分』では、「証言8 昆虫など」に分類された報告は44件と、他の生物よりも非常に少ない。



これは、一つには兵庫県南部地震が冬季(1915/01/17)に発生した大地震だったために、昆虫の前兆事例は非常に少なかったのだろう。
トンボの報告も、皆無だった。

だが、その数少ない事例のうちでは、昆虫の幼虫の異常行動の例がいくつか見られるのが興味深い。
やはり、地中で何かしらの異変が起きていたのだろうと推測できる。

私のもう1冊の「バイブル」である『計測機器を使わない 地震予測ハンドブック』(三一書房編集部編、三一書房)の「トンボ」の項を見てみる。




そこには前兆事例がいくつか載っていて、中国の大地震の前にトンボの大群が目撃されたケースが数件ある。

また、日本の伝承では、秋でもないのに赤とんぼの大群が出てくるのは大地震の前兆とある。
このような伝承の類は、それだけを鵜呑みにするのは大人げないが、本来専門に探求しなければならない人々がアプリオリに無視することも同様だろう。


2016年6月23日~24日、船橋市南部の浜町から湊町にかけての水辺に近いエリアで「トンボが大量に発生している」とSNSを中心に話題となった。
SNS上では、「自転車で走っていたら顔に飛び掛かってきた」、「自動車を運転していたらトンボの群れに突っ込んでしまい、ワイパーが必要になったほどだった」などの情報が投稿されていた。

それから1ヶ月弱後に、茨城県南部と千葉県北東部の内陸でM5クラスの地震が3回発生した。




40~44kmの距離で1ヶ月弱の遅延で、M5クラスの規模を考慮すると、地震前兆現象としてあり得る可能性だろう。


■セミの前兆?

また、先日7/15の記事で、「この夏はセミが鳴かない」という報道を取り上げた。



そして、宝永地震(1707、南海トラフ)や大正関東地震(1923)の前の夏にセミが鳴かなかったことを紹介した。

もちろん、それだけの事象で大地震の前兆と決めつけるわけではない。

だが、調べてみると、セミの初鳴きが遅い夏の後にも大地震が起きるケースがあることもわかった。


この夏は正にそのケースだが、前述のデータベースでは、「セミ」で検索しても全く見つからなかったのは意外だった。

実は、この記事を再掲した理由はもう一つあって、この「セミ」に関することだった。


『地震予測ハンドブック』の「セミ」の項では、関東地震(1923/09/01)の直前に、東京都湯島でセミが木の低いところや地面に降りてきたので、手で簡単に捕まえられたという事例がある。

実は今日、それに類似したケースを3回ほど経験したのだ。
Instragramサブアカで写真を投稿した。





セミが本来木の高い所に留まっているのが、低いところに移動するというのは、ロジック的に理解が難しい。

もっとも、それをいうならば昨年夏もよく木の低いところにセミが留まっていて、手づかみで捕らえたことが何度かあった。
この程度のことは、よくあることかもしれない。

■地震・津波だけではない言い伝え

前述の「筆洗」では、地震や津波だけでなく、他の災害に関する言い伝えもあるようだ。

たとえば、宮崎県の「モグラが騒ぐと台風が来る」など。

こうしたことは、その地域固有で見られるものもあるかもしれない。


「猫が顔を洗うと雨が降る」といった諺もあるが、これは本当だろうか。

これは、池谷元伺大阪大名誉教授の『地震の前、なぜ動物は騒ぐのか』(日本放送出版協会)によると、雷雲の接近や雷によって生じる電磁波電場でネコの目に電流が流れるから、そのような動作になるのだろうという。




このように、人々が迷信だと感じる諺のたぐいにも、実は科学的な根拠がある場合もあるということだ。


このような、科学的根拠があるものと迷信的なものを選り分けることが、私の仕事の一つだろう。

そういう意味では、『防災に関わる「言い伝え」』の内容をじっくり吟味してみることにしたい。

…ということがだいぶ以前から課題になっていたが、まだ手を付けられていない。



※防水バッグに入った防災セット。

全体の評価は高いが「コンパクト」なところが評価が分かれるところ。









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ノンフィクションライター、地震前兆研究家、超常現象研究家、ブロガーの百瀬直也が地震・災害などを扱うWebサイト/ブログ。

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