【再掲】地震と台風・気圧・気象の関係~台風の発生によって地震を予測する

2022/10/13

台風 台風と地震 地震前兆

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この記事は、9年前に『探求三昧ブログ2』で投稿した記事を再掲するもので、台風・気圧・気象と地震発生の関係に関する各氏の説や科学的研究を紹介する。


■9年前の記事

以下は、2013/10/20のtankyu2.comの「地震と台風・気圧・気象の関係」と題した記事を多少加筆訂正したもの。

自説である「台風は大地震の震源となる地点を迂回して進む」は、2014年10月頃から検討を始めたようで、この頃はまだそこまで行きついていなかったが、その下地となる情報は当時から収集していたようだ。


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さいきん大型台風が相次いで発生し、それに伴って、地震と台風の関係について語られることが多くなってきた。

そこで、地震と、気圧・台風・気象などとの関連についての情報を集めて紹介することにしたい。


■鍵田忠三郎氏の説

まず、地震と気象との関係については、「地震雲」の名付け親である鍵田忠三郎氏(1922-1994)の説がある。

鍵田氏の地震雲の研究については、以前にこちらの記事で紹介した。


◎これが地震雲だ−雲はウソをつかない




この人の代表的著書である「これが地震雲だ−雲はウソをつかない」を参考にして、地震と気象についての説を以下にまとめる。


・雨の日には地温が上昇し地中の水位が上がり、雨となるが、地震の前にも同様の現象となる。

・雨・風・雷・台風・地震などは、大地の中の不調和を治すためのもの。

・地震の前には震源地一帯が高温になるが、これも地中の不調和のため。

・雨と地震は同様の発生原因であり、雨の日は地震が少ない。

・雨が降っても大地の不調和を治せない場合、地震となる。

・地震雲が低空に出ると雨となり地中浅いところの歪を調和し、5000メートル以上の高空に出ると地震となる。

・人間が自然界の造物に手を加え不自然な状態にするほど災害は大きくなる。


鍵田氏は奈良市長を努められた政治家だった文系の人だが、その説くところはあまり科学的とは言えない部分もあった。

たとえば「地中の歪」と言っているものの実態は、果たして何なのかという疑問が生じる。

だが、長年の雲の観察と直観による地震予測は、しばしば的中して人々を驚かせた。


■木村政昭氏:気圧と地震の発生

数多くの大地震を予知してきた琉球大の木村政昭名誉教授(海洋地質学)は、気象と地震の関係について、次のように語る。


かつて大地震の発生前に、発光現象や特異な雲が出現した例が伝えられています。それに、漁師の間には『低気圧になると地震が起きる』との言い伝えもあります。地面を押しつける気圧の力がグッと弱まって、地震が起きる可能性があるのです。地震発生の臨界状態にある場合には、低気圧が『最後の一押し』になるかもしれません。


◎「低気圧になると地震が起きる」という漁師の言い伝えは本当か?



つまり、低気圧が地震発生のトリガーとなる場合もあるのではないかという。

また、次のようにも語る。


3.11後はどうも気圧配置がおかしい。大地震で地軸が揺さぶられ、地球の回転に影響を与えているのではないでしょうか。


3.11がその後の気圧配置に影響を与えたとすれば、今年の相次ぐ大型台風の来襲も関係があるのだろうか。


■ロシアのボコフ博士:

ロシアの地球物理学社のボコフ博士(Viktor N. Bokov)は、宏観レンジャーの「地震前兆アラート」でも常時表示している地震予測地図で知られる。


※『宏観レンジャー』プロジェクトは、既に閉鎖した。


ボコフ博士の説では、地震前兆は、太陽の地場変化と、高気圧の気圧変化から推測可能だという。

地震の震源は地上の気圧を低下させ、上記の2つが同時にあると、M4以上の地震が起きると言っている。


■低気圧の進路と震源

地震が低気圧の進路に影響を与えるという説もある。

それによると、低気圧が急に進路を変えた場合、元の進行方向には地震の震源があるという。

一応こういう説もあるということで、紹介しておく。


この説を唱えている横浜信玄氏は、Webサイトを更新中で、私が参照したページも以前のままで読めないようだ。

また下記の新サイトは、いわゆるSSLされていなくて「保護されていない通信」となるのでアクセスは推奨できない。


◎低気圧による震源の特定方法


◎地震は、低気圧が震源に衝突した時の衝撃によって発生する

※リンク切れ


■上出孝之氏:台風の前後に地震

現代の地震雲の研究家として、30年以上研究を続けてきた、北陸地震雲予知研究観測所の上出孝之氏がいる。

スマトラ沖地震(2004年)や四川省地震(2008年)、3.11直前の三陸沖地震(2011)も的中させたという。


上出氏は、10/9に観測した地震雲から、「今月24日までに、首都圏M7.5、震度6、7規模の地震が起きる」と警告し、次のようにも語っている。


関東大震災の直前が大嵐だったとの記録が残っているように、私が調査してきた過去の統計から見ても、台風の後や満月の前後は大きな地震が発生しています。今週は、16日に台風26号が本州に接近すると予報されており、19〜20日は満月。不安要素が重なっているだけに、なおさら注意が必要です。

(2013/10/16、日刊ゲンダイ)


◎台風一過が危ない…第一人者が警告「10・24までに首都圏地震も」

※リンク切れ



■米国研究:台風の後に大地震が起きやすい

台風の後に大地震が起きやすいということは、米国の科学者によっても研究されている。

米マイアミ大学のシモン・ウドウィンスキー准教授とフロリダ国際大学の研究チームが、ハイチと台湾の50年間のデータを調べ、地震発生前の4年以内に被災地が激しい豪雨を伴う大型熱帯低気圧に見舞われていることを確認した。


4年も前の台風を問題とするとなると、毎年いくつも台風がやってくる日本などは、どの台風とどの地震が関係があったのかと特定するのが非常に難しいだろう。


◎大地震は台風の後にやってくる、米大研究



■BOPPO氏:台風の発震抑制効果

Twitterでお馴染みの技術者Boppoさんは、以前から「台風通過後3日以内はM5・震度4以上が7割の確率で発生」すると語っていた。

そして、仮説として「台風には発震を抑制する働き」があるのではないかとしてデータを集めた結果、台風通過中の発震は明かに抑制されており、311震災前後でもM4または震度3が3〜6日に1回程度発震しているという。


詳しいことは、下記のBoppoさんのブログ記事を参照してください。


◎台風には「発震抑制効果」がある!



■台風がスロー地震のトリガーとなる

面白い説として、台風が「スロー地震」のトリガーとなり、それが大型地震を抑制するというものがある。

ワシントンD.C.にあるカーネギー研究所のアラン・リンディ氏率いる研究チームは、台湾の東海岸に高感度の地震計を設置し、微弱なスロー地震の記録を取った。

その結果、台風発生がトリガーとなり、地震計にも記録されないスロー地震が多発し、それが地震エネルギーを温和するということがわかった。


◎台風が“スロー地震”の引き金となる

※リンク切れ


このように、様々な説があるが、気圧変化と地震の発生には関係があるかもしれず、さらに探求する価値がありそうだ。

地震と気圧の関係についてみると、低気圧が地震を誘発するという説と、地震の発生により地上の気圧が低下するという異なる説がある。

特にこの季節、台風の発生と進路について、注意して観察するようにしたい。


■気圧と地震

この部分は、今回追記するもの。
9年経って、少なくとも地震と気圧の関係については、かなり市民権を得てきた(?)ようだ。

たとえば東大名誉教授・村井俊治氏らが立ち上げられて「MEGA地震予測」などでおなじみのJESEAのブログでは、「地震前に起きる様々な前兆現象―宇宙から捉えた雲画像/低気圧―」と題した記事(2021/09/10)がある。
ここでは、下記のような記述がある。

 地殻変動によって地面が不安定となりひずみが溜まっているときに、低気圧によって地震が誘発される場合があります。非常に強い台風や南岸低気圧が通過するとき、水面や地盤が持ち上げられ、低気圧が通過した後には再び地盤が下に落とされる、という現象が発生します。そういった水面や地盤の動きが地震を誘発する場合があるのです。このような誘発はトリガー(引き金)とも呼ばれています。



私自身もかなり参考になるが、過去の大地震の前の気圧データを紹介していて、あとでデータを確認することにしたい。

私の台風進路迂回説は別の理論が必要になってくるが、少なくとも気圧の高低が地震の発生に影響を与える可能性は、決して「非科学的」ではないことがわかるだろう。



※愛用の青森県産熟成黒にんにく。
私は2袋1kg買って大体2ヶ月くらいで消費するが、普通の人はもっと長くもつようだ。







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