【災害】南海トラフ巨大地震の津波などから「逃げられる」と思って命を落とす人々~「訓練」の重要性

2021/05/06

津波 南海トラフ 防災

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今日は昨日の記事の続編的に、災害から生き延びるために心得ておいた方が良い心の持ちようなどについて書く。

具体的には、多くの人々が災害で命を落としてしまうきっかけとなる「正常性バイアス」などの心理状態のこと。


■人は「まさか…」で命を落とす

今日は、昨日の記事で紹介した、徳島新聞の連載記事【あなたは「逃げられる」と思ってますか?災害時の心理を考える】の2回目をネタにする。

2021/05/04の『正常性バイアスの罠 抜け出す鍵は「訓練」』と題した記事。



「正常性バイアス」はわかっても、「何この記事タイトル?」と意味不明だった。
「正常性バイアス」は、「認知バイアス」の一つで、わかりやすく言うと、昨日の記事で書いた、災害時に「もしも」を考えないこと

「正常性バイアス」などの「認知バイアス」については、1年前のTOCANAの記事で私が書いている。

『【3.11から9年】なぜ日本人は「自分だけは死なない」と思ってしまうのか!? アナタの命を奪う「認知バイアス」の恐怖を解説』と題した記事だ。

まず「認知バイアス」というのは、人間の正常な判断を妨げてしまう心理状態のことで、「偏見」「先入観」「思い込み」といわれるもの。

その中で、「正常性バイアス」というのは、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人間の心理のこと。

たとえば、昨日の記事で紹介した昭和南海地震発生時に、徳島県海部郡牟岐町の2人の少年が「ここまで津波がくるとは思わなかった」と思った心理状態がある。

災害で被災した人々が口を揃えたように語る「まさか…」の心理状態だ。
それ以上の詳しいことは、下記のTOCANAの記事を読んでみてください。


■災害時にありがちな「認知バイアス」

以下に、特に災害に関連がありそうな認知バイアスを挙げておく。

◎正常性バイアス

災害発生時に、「自分は絶対に大丈夫」と根拠のない確信を抱き、避難行動を取らない人々の精神状態。

◎「同調バイアス」(集団同調性バイアス)

災害発生時に、周囲を見回して人々の行動に同調し、「他の人たちが避難しないから大丈夫だろう」というような“思い込み”をもつこと。

◎「楽観バイアス」

目前に迫った津波などの災害が大した被害をもたらすことがないと思い込み、異常事態を過小評価する傾向。

◎「現状維持バイアス」

自分が未知・未体験のものを受け入れずに、現状を維持して変更を避けようとする心理状態。
たとえば、津波から避難すべきときに、自宅にとどまって亡くなる人々の心理状態。

◎「確証バイアス」

自分の先入観に基づいて他者を観察し、自分に都合の良い情報だけを集めて先入観を補強する傾向。
いったんある決断を行うと、その後に得られた情報を、決断した内容に有利に解釈するようになる。

たとえば、お婆ちゃんが電話がかかってきた相手を息子だと信じて疑わず、多少怪しい部分があっても「はじめに確証ありき」で、ニセの息子を信じてお金を渡してしまうケース。
あるいは「私は詐欺などに引っかからない」という思い込み。

■「正常性バイアス」

認知バイアスの説明に大分費やしてしまったが、徳島新聞の連載(2)に戻る。

6年前の2015/02/06に、徳島県南部の内陸でM5.1、細田氏震度5強の地震が起きた。
この震源域では非常に珍しいM5クラスの内陸地震だった。

今年になって、同紙記者が、あの地震の時にどう行動したかを、牟岐港にいた男性(72)に聞いてみた。


すると、「揺れの後、海を見に行ったなあ」との答え。
こらダメだと思った。

数年前の西日本豪雨のときだったか、豪雨の警報が出ているにもかかわらず、川まで様子を見に行って亡くなった人がいた。
これは完全な「正常性バイアス」だ。
「俺は絶対大丈夫」という思い込みがあるから、そういう行動をしてしまう。

■「訓練」の重要性

では、正常性バイアスに支配された状態から、緊急時モードに切り替えるギアとなるものは何か。
それは「訓練」だと、徳島新聞の記事は書いている。

前述の2015年の徳島県南部の地震では、震源地周辺の小中学生は訓練通りに避難した。

うちの子供たちなども、地震が起きると咄嗟にテーブルの下などに潜り込む。
地震の揺れとともに、「避難しろ!」というスイッチが入るのだ。

なるほど、やっとこの(2)の記事タイトルの意図がわかってきた。
たしかにそうだろうと思う。

この牟岐町の海辺では、南海トラフ巨大地震が起きてから最短で11分で津波の第1波が到達するという。
もう無条件に高台目指して避難するしかない。

だが、子供たちのように「無条件に」動き出すことは、「訓練」を経ていないと難しい

私を含めたうちの家族は、これまで何度か「起震装置」で震度6強や震度7を体験した。
このようなシミュレーションを体験しておくことも、また「訓練」として非常に重要なことだろう。

5/1に投稿したばかりのYouTube動画を埋め込んでおく。
同じ起震装置でも、一本調子で揺れる震度7よりも、それより震度が低くても、熊本地震のシミュレーションのようなリアル地震により近い揺れの方が、ずっと怖かったりする。

まだ見ていない方は、どうぞ。



※うちには大きなハエはいないが、コバエがたくさんいて、これで電撃で叩いて退治するのが日課となっている。


あとは、こういうワンプッシュ式のスプレーを併用する。









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ノンフィクションライター、地震前兆研究家、超常現象研究家、ブロガーの百瀬直也が地震・災害などを扱うWebサイト/ブログ。

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