06/21から続くトカラ列島近海の群発地震で、急速な地殻変動が起きていることがわかり、地震が長期化する恐れが出てきて、加えて諏訪之瀬島の火山活動が同期しているようで、地下のマグマのような流体の動きが重要になりそうだ。
■群発地震
06/21に始まったM2~M5クラスの群発地震は、この記事を書いている21:30時点で1300回以上に達した。
気象庁の震度データベース検索に収められている06/21~07/03の地震をすべて検索すると、上限の1000件を超えるために全部が出力されない。
そのため、M2.5以上などと絞らなければならない。
これを、たとえば「震度4以上」で検索しても、28件も出てくる。
最大震度は、07/03に起きたM5.5、最大震度弱だった。
■地殻変動
昨日07/04、政府の地震調査委員会は、トカラ列島近海を震源とする群発地震について臨時の会合を開いた。
そこで、国土地理院が宝島の地殻変動観測結果を報告した。
それによると、06/21に群発地震が始まった後、宝島の観測点は07/02 12:00までは東北東へ1.8cm移動した。
その後、07/03午後までに南へ4.2cm移動し、方向が急変したという。
東京大学の平田直名誉教授によると、悪石島の北側に活火山があり、その深いところでマグマによる活動が発生している。
そうした活動で生じた「流体」が地震を起きやすくしているのではないかという。
今回の場合、1週間かそこらで収まるわけではなさそうだとも語る。
■地下の「流体」
国土地理院の地殻変動情報表示のページで、トカラ列島の水平方向の変動を見ると、下記のようになっている。
上記マップで、ピンク線で囲んだ部分が、群発地震が起きている地点となっている。
諏訪之瀬島と悪石島の間あたりで震源が集中している。
前述の平田氏によると、地殻変動のデータを分析した結果、悪石島から南西におよそ50km離れた宝島では、07/22午前中から07/03午前中にかけて、南へおよそ4cm移動していたことがわかった。
■諏訪之瀬島
この群発地震の震源近くの諏訪之瀬島では、群発地震が始まった翌日の06/22に、霧島連山・新燃岳で、噴煙の高さが2300mに達する大規模な噴火が起きた。
その翌日06/23には、トカラ列島の諏訪之瀬島も噴火して、噴煙の高さが2300mに達した。
過去にも、トカラ列島近海の群発地震と同期するように、諏訪之瀬島の噴火が起きていた。
以下にその例をいくつか示す。
・2015/06/13 09:10:諏訪之瀬島噴火、噴煙高さ1900m
2015/07/04:トカラ列島近海、M2.0~M3.9(計17回)
・2016/08/03 18:28:諏訪之瀬島噴火、噴煙高さ2800m
2016/08/04~09:トカラ列島近海、M2.0~M2.8(計4回)
・2023/06/12~22:トカラ列島近海、M2.1~M3.2(計13回)
2023/06/25 15:212:諏訪之瀬島噴火
・2025/06/21~:トカラ列島近海、M2~M5クラス(計1300回以上)
2025/06/23 10:41:諏訪之瀬島噴火、噴煙高さ2300m
このように、トカラ列島近海の群発地震の多くは、諏訪之瀬島の火山活動と連動して起きている。
観測史上はじめての回数の群発地震は終息の兆しを見せず、また同一エリアで諏訪之瀬島の噴火もあり、これまで未経験だった地震・噴火のイベントも含めて、様々な事態を想定しておくべきだろう。
