今年の夏は世界的に異常な猛暑となったが、これにはインド洋ダイポールモード現象という海洋現象の影響もあったといわれ、これは日本あたりの地震の発生にも影響を与えると考えられ、今後も気温変化とともに注視する必要がある。
■猛暑の原因
EUのコペルニクス気候変動サービスの発表によると、2025年8月は世界的に史上3番目に暖かい8月となった。
平均地上気温は、記録上最も暑い2023年と2024年の8月よりも高かった。
1ヶ月ほど前の世界気象機関(WMO)の予測によると、ラニーニャ現象が2025年9月~12月に発生する可能性がある。
さらに、負のインド洋ダイポールモード現象(IOD)現象が2025年11月~12月に続く可能性があるという。
このため、インド太平洋地域では降雨量が平年を上回る可能性がある。
このため、9月以降、ラニーニャ現象による一時的な寒冷化の影響にもかかわらず、世界の多くの地域で気温は依然として平年を上回るとWMOが予想している。
■海洋現象の状況
現在は、海洋現象の発生状況は以下の通りとなっている。
◎エルニーニョ/ラニーニャ
・エルニーニョ:
・ラニーニャ : →ややラニーニャに近い
・平常期 :
現在は太平洋の西側の日本周辺が海面水温が高い傾向。
◎ダイポールモード現象(IOD)
・正 :
・負 :→2025年夏~(秋頃まで)
・なし:
負IODが、恐らく秋頃まで続く予測となる。
◎黒潮
・大蛇行 :
・非大蛇行:→今春以降
春以降に、黒潮直進期が続いている。
現在は、ラニーニャ現象に近い状況が続いているとされるが、冬には終わり平常状態になると予測されている。
■負IODの傾向
ここで、現在続いている負IODの期間中に、過去に日本で大地震は多かったか、少なかったか?
以下の通りとなっている。
M6.5以上:617回(1919~2019)
・正IOD: 70回 期待値の80%と、やや少ない
・負IOD: 57回 期待値の80%と、やや少ない
・IODなし: 490回 期待値の110%と期待値に近い
このように、正負のIOD期間中は、国内の大地震がやや少なくなる傾向にある。
ただし、これは内陸地震も海溝型地震も含めた平均的な傾向であり、あまり過度に信用しすぎない方が良いだろう。
■南海トラフ地震
次に、過去の南海トラフ巨大地震と海洋現象の関係を見てみる。
◎16世紀以降の南海トラフ巨大地震
・合計: 6回
・エルニーニョ中: 02
・ラニーニャ中: 00
・通常期: 04
IODの期間がわかっているのは、20世紀に入ってからになる。
このため、過去の南海トラフ巨大地震については、1944年の昭和東南海/南海地震だけがわかっている。
2つとも、IODが起きていない平常期だった。
日本の歴史に残る大きな被害地震は、大正関東地震、昭和東南海・南海地震、兵庫県南部地震、東北地方太平洋沖地震など、いずれもIODが発生していない時期に起きていた地震が多いのが興味深い。
インド洋の海洋現象が、日本の地震に影響を与えることは考えにくいだろうが、少なくとも日本の気象には影響を与えていることがわかっている。
今年11月頃に負IODが終われば、その後の半年以上はIODなしの時期に入る。
黒潮大蛇行も終息した現在、南海トラフ巨大地震発生の可能性が高くなるといえるだろう。
【Amazon】『新日本カレンダー 2026年 カレンダー 壁掛け 月暦 年表付』
