【再掲】地震と天候~「地震天気」はあるか?大地震の後で雨が降るのは「迷信」?

2022/11/26

地震

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今日は17年前の2005/01/15に投稿した『地震と天候』と題した記事を再掲するが、科学の世界で「地震と天候の間に相関関係はない」というのが本当かどうか検討した記事で、さらに解説を加えることにしたい。

現実には、例えば大地震の後で雨が降ることが多いが、それらを科学の方法論で説明することは可能だろうか?


■地震が起きそう

※以降は2005/01/15の記事『地震と天候』の再掲。


さいきん地震のことばかりブログで書くようになってから、アクセスカウンターが上がるのが速くなりました。

平均して1日500件以上、週末など、多いときだと1000件を越える日もあります。


もともと、はてなダイアリーはキーワードによるリンクが多くてカウンターが上がりやすいのだけど、最近は普通ではないです。

それだけみんな地震のことが心配なんでしょうね。

特に阪神淡路大震災から10年目にあたる1月17日が近いこともあるのかな。


今朝の東京は雪で、そのうち雨に変わったみたいです。

昨日は夜になっても妙に暖かくて、「地震って、こういう時に起きるものなんだな」と思いながら家路についたら、夜に東京も揺れましたね。

千葉県を震源とする震度1の弱い地震だったけれど。


【注】この記事を書いた前日、2005/01/14 22:22の千葉県北西部、M3.8、最大震度1の地震のこと。


■地震と天候の関係

地震と天候の関係について、アカデミズムでは何と言っているのかと、調べてみました。


すると、米国USGS(U.S. Department of the Interior, U.S. Geological Survey)サイトのFAQのページでは、「天候と地震には何の関連もない( there is no connection between weather and earthquakes)」と断言しています。↓



でも、本当にそうなんでしょうか?

先日紹介した、地震雲研究の先駆者・故鍵田忠三郎氏の著作『これが地震雲だ−雲はウソをつかない』では、こう書かれています。


雨の前には地温が上昇し、地中の水位が上がり、雨が降る。地震と雨の発生の原因は同じなので、雨の日には地震が少ない。雨がどんどん降っても、その調和作用が追いつかない場合には地震が起きることもある。



地震を研究している人の中には、大きな地震雲が出ると雨が降りにくくなると言っている人もいます。

降りそうで降らない蒸し暑い日が続いて、その後に急に晴れ上がってから、地震が起こることが多いとのこと。


今日は雨や雪のところが多くて、前兆現象もそれほど出ていないので、とりあえずは警戒警報解除ということでしょうか。


■熊本でM4.0の地震

いま、つけていたTVの方を何気なく見たら、地震のニュース速報の文字が。

2005年1月15日 15時42分ごろ、震源は熊本県熊本で、マグニチュード4.0。

最大で震度4だったようです。


「とりあえずは警戒警報解除ということでしょうか」と書いた矢先に…。


九州の方まで頭がまわらなかったけれど、宏観現象画像掲示板や地震予知協会の掲示板などを見ると、たしかに中国地方などでも前兆が出ていたようです。

(2004/01/15 16:00記)

※再掲部分ここまで


■「地震天候」

ここで書いていたUSGSのFAQページ。

その要約を紹介する。


BC4世紀、アリストテレスは、地震は地下の洞窟に閉じ込められた風によって引き起こされるという仮説を提示した。

小さな揺れは空気が洞窟の屋根を押すことによって引き起こされ、大きな揺れは空気が表面を壊すことによって引き起こされたと考えた。


この説は、大量の空気が地下に閉じ込められているため、地震前の天気は暑くて穏やかであるという地震天気の信念につながる。


しかし、「地震天気」などというものはない。

統計的には、寒い天候、暑い天候、雨天などで地震がほぼ均等に分布している。

主要な暴風雨システム (台風、ハリケーンなど) に関連する非常に大きな低気圧の変化は、断層すべりを誘因することが知られている。

ただし、その数は少なく、統計的に有意ではない。


■地震の後で雨が降る

だが、実際は地震と天候の関係、たとえば大地震の後に雨となることが多いといったことに気が付く人は多いようだ。

たとえば、下記のYAHOO!知恵袋のやり取りがある。


◎YAHOO!知恵袋

2008/05/24

Q:地震の後には必ず雨が降るのは何故でしょうか?

新潟、阪神、奥尻、四川と大きな地震のあとには必ず雨が降りますがなぜでしょうか?


A:地震時に発生するある種の電磁波が、凝結核となって大気中に雨雲を発生させ、雨を降らせるのです。

大噴火火山の噴煙でも、噴煙の微粒子が同じように凝結核となって、雨を降らせることが知られています。



また、OKWAVEでも同様のやり取りがある。


◎OKWAVE

2016/04/15

Q:そういえば東日本大震災の時も地震の後に雨が降ったと思いましたが、大きな地震が来た後は雨になるもんなんでしょうか?

確か地震雲なんてものがありましたよね。

あれは地震の影響でできた雨雲?


A:調べたわけではありませんが、大きな地震の後は雨という印象は正しい(単なる誤差と見られないほどの差がある)のではないか、と思っています。

というのは、巨大地震がおきると、広範囲にわたって岩石の崩壊などが起きるでしょ。で、岩石が崩壊するときに電磁波が生じると言われています。



■地震の前後の天候変化

私がこのようなことを17年前に書いていたということは、そのような可能性をある程度検討していたようだ。


これまでの私の研究では、大地震の前後には、降雨・気圧低下・湿度上昇といった現象が見られることが多い。
もっとも、雨が降れば上記のような気候変化はあるだろうが、雨が降らない場合でも、他の変化が見られることも良くある。

たとえば、下記の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の例。

◎兵庫県南部地震



05:46の早朝の地震発生の直前から若干の気圧低下が見られ、地震発生直後あたりから降雨が始まった。


◎大阪府北部地震

次は、4年前の大阪府北部地震の例。


この場合は、地震発生の直前から、降水量=0.0となっているが、これは降水はあったが0.5mmに達しなかったということのようだ。
この場合は、地震に先立って小雨が降っていたようだが、地震との相関関係はこれだけでは判断が難しい。


このような地震発生前後の気象データは、気象庁サイトで調べられるが、問題は日本で起きる大地震の多くは海底が震源となる地震であり、また、ある程度の主要な気象台でないと気圧や降水量などの詳細なデータが揃っていないので、中々大変だ。


今日もこの2つのデータを調べるだけで、かなりの時間を取られてしまった。

だが、非常に重要な領域ではあるので、今後も少しずつ研究を進めていきたい。


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ノンフィクションライター、地震前兆研究家、超常現象研究家、ブロガーの百瀬直也が地震・災害などを扱うWebサイト/ブログ。

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