トカラ列島近海の群発地震は回数は少なくなってきたが依然として収まらず、今後数ヵ月は続きそうという専門家の予測がある中で、実際にそうなれば『黒潮』の観点から、南海トラフ巨大地震の発生に影響を与える可能性がある。
■トカラ列島近海
まず、06/21に始まったトカラ列島近海の群発地震の状況について。
気象庁の「震度データベース」に収められるのは、地震発生の2日後なので、現時点では06/21~07/10まの地震情報を扱う。
1919年以降に発生した同震源域の地震と海洋現象の発生状況の関係を見ると、下記の表の通りとなる。
これは、1919/01/01~2025/07/10にトカラ列島近海で発生したM1.0以上の地震(計2214件)の発生時に発生していた各海洋現象の状況をまとめたもの。
この見方は、たとえば黒潮大蛇行の発生中に地震が起きる確率は、平均が39%のところが、実際は93%と非常に多く起きていたということ。
つまり、過去にトカラ列島近海で起きた地震の93%は、黒潮大蛇行の発生中に起きていた。
これは非常に顕著な結果で、地震発生と海洋現象の発生状況に何の関係もなければ、こういう結果にはならないだろう。
このような結果が出ても、地震学を研究する人々の殆どは海洋現象に対する知識/関心がないために、単に否定するだけだろうが。
■黒潮大蛇行と南海トラフ巨大地震
次に、これは私の自説になるが、南海トラフ巨大地震は、黒潮大蛇行の発生中は起きる可能性が非常に低くなる。
この説を最初に唱えたのは、気象庁の岡田正美氏(当時)だった。
この説を検証すべく、西日本南岸の地震発生と黒潮流路の関係を徹底して調べた結果、この説は矛盾しないという結論に達した。
■黒潮の現状
一昨日07/10に、JJAMSTECの『黒潮親潮ウォッチ』が久々にアップデートされて、最新の黒潮の長期予測が発表された。
これを見ると、黒潮大蛇行はいったん渦がちぎれて終息状態になったものの、その後に当サイトの予測通りに、再発達した。
ただし、「黒潮大蛇行らしくはなく、長期には保たれなさそうです」とある。
気象庁は07/02に、「黒潮大蛇行ではないものの伊豆半島沖で黒潮が蛇行している状況を観測で確認」したとある。
では、何をもって「大蛇行ではない」のかというと、以下の理由による。
・蛇行の渦の内側の海面水温が、大蛇行発生時は低くなっているのが、高温である。
・紀伊半島・潮岬から黒潮が遠ざかる黒潮大蛇行とは違い、潮岬に黒潮が近づいている。
■大蛇行は続かない?
そうなると、やはり通常の黒潮大蛇行とは異なるということで、JAMSTECの予測では、大蛇行は「長期には保たれなさそうです」という。
では、実際に黒潮大蛇行が終息したとなれば、過去の南海トラフ巨大地震はすべて7月~2月に起きていたことを考え合わせると、この状況下では、巨大地震が起きてもおかしくないことになる。
もっとも、巨大地震の発生前には諸々の前兆現象があるはずで、今はそれらが見られない。
このあたりのことは、たとえば『南海地震は予知できる: 地震が残した証拠品』(中村不二夫著)という私家版でもまとめられている。
中村氏は、昭和南海地震(1946/12/21、M8.0)の経験者からの聞き取りにより、地震発生前に顕著な潮位変化があったことをつきとめた。
その後に中村氏は、「NPO法人南海トラフ地震直前予知連絡会」の立ち上げに参加して、Web上で潮位変化などの観測結果を公開していた。
だが、現在は活動内容が見られず、関連Webサイトも見つからなくなった。
もし何らかの理由で活動が終わってしまったのならば、非常に残念だ。
■明菜さんマガジン
話題は変わって、今日『明菜の夢見るマガジン』7月版を更新しました。
昨日明菜さんから送られた今回の更新分も、今後の日本にとって非常に重要かつ深刻な話題が含まれています。
あまりにも夢見が悪かったため、公の場で書くことを躊躇していたようです。
トカラ列島近海の群発地震に深く関係する内容も書かれています。
※私家版のため、数少ない古書がなくなれば、この貴重な内容は読めなくなる。
【Amazon】『南海地震は予知できる: 地震が残した証拠品』