08/29の気象庁と海上保安庁の発表で、7年以上続いていた黒潮大蛇行が4月に終息していたことがわかったが、ちょうどその2日前に、あり得ない位置で地震が起きていた謎が解けた。
■渦の内側で地震
4日前に、下記の地震が起きていた。
2025/08/27 09:32:八丈島近海、M4.5、最大震度2、深さ23km
この地震の震源を見て、大きな疑問が生じた。
というのも、図のように黒潮大蛇行の渦の中で起きていたからだ。
震源を黄緑色の丸印で示している。
たとえM4.5と大規模ではない地震でも、長年の観測から、通常は見られない地震だった。
これまでの自分の経験が、無駄になってしまうのではないかとも考えた。
■黒潮大蛇行が終息していた
だが、その2日後、衝撃を受ける報道があった。
当日のブログ記事で書いているが、08/29、気象庁と海上保安庁は、黒潮の流れが紀伊半島・東海沖で大きく南へ蛇行する「黒潮大蛇行」が2017年8月から続いていたが、今年4月に終息したと発表した。
継続期間は7年9カ月で、資料が残る1965年以降で最長となった。
この日の記事で書いたように、JAMSTECの『黒潮親潮ウォッチ』の最新版「2025年10月24日までの黒潮「長期」予測(2025年8月27日発表)」では、こう書かれていた。
伊豆諸島付近と紀伊半島南付近に蛇行があります。東の蛇行は蛇行こそ大きいものの、黒潮大蛇行らしい蛇行ではなく、長期には保たれなさそうです。西の蛇行は東に進み、大蛇行的になる可能性がありますが、その可能性は小さくなっているようです。
JAMSTECの観測でも、黒潮大蛇行らしさがなく、疑問が残るような書きぶりだった。
そして、その疑問の通りに、黒潮大蛇行は4月に終息していたたことがわかった。
■海面水温
では、気象庁やJAMSTECは、現在の大蛇行に見える渦を、なぜ「大蛇行らしさがない」と考えるのだろうか。
そのことは、2年前と現在の渦の内側の海面水温を比較すれば、一目瞭然となる。
まず、2年前の2023/08/26の海面水温異常の図。
渦の内側が黒く、若干青みがかっている。
これに対して、2日前の08/29の海面水温異常の図は、下記の通り。
渦の内側が赤色~黄色で、2年前よりも高温になっていることがわかる。
通常の黒潮大蛇行は、渦の内側の海面水温が周囲よりも低いことが特徴となっている。
その特徴が失われていることが、「大蛇行らしさがない」と判断した理由の一つなのだろう。
このため、現在は黒潮の非大蛇行期(直進期)となり、自説では南海トラフ巨大地震発生の可能性が高まったことになる。
私の他にも少数派だが、同様の意見をもつ地震学者もいる。
今後、そのような研究も少しずつ紹介していきたい。
※南海トラフも含めて、この方の研究は要注目。いずれわかってくるだろう。
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